ひな人形のこだわり
「磊楽人形工房」のひな人形は、素材・技術・造形にこだわった職人の手仕事によって作られています。 量産品とは一線を引く職人技を、ぜひ店頭で実物をご覧ください。その気品ただよう美しさに、ご満足いただけると思います。
最初の工程として、人形作家が自分の感性でデッサンを描きます。理想のデッサンができあがったら、それをもとに設計図を作ります。 顔に対して手の大きさ、肩幅、肩から肘、肘から手の長さ、座ったときの腰の位置、人形が台からはみ出ないよう、頭の先から台の端までをデザインします。どの方向から見ても美しく見えるようデッサンを基に色々な方向から確認をします。
男雛は長い線を一本、短い線を三本いれて、等間隔に丁寧に書きます。強弱をつけることで遠近感をもって、男性の迫力や力強さを表現しています。 女雛は、線の長さを少しずつ変えながら緩やかな曲線を描いて、また、日本の最も美しい額の形とされる富士額を描き、女性らしい優しさ、美しさを表現しています。これらの毛書きは、石川潤平工房の職人ならではの技術で、とても貴重な技法です。
一本筆を入れてもほとんど見えないくらいの線を重ねて眉を書き入れます。眉毛の形、均等な毛書き技法はまるで羽毛のようで気品を感じます。人の眉毛と同じように、細かい線をななめに重ねて眉毛の形にしています。 技を磨いてきた職人の極限の技、筆仕事のレベルの違いが見てとれます。
「「古典さげ髪」と「おすべらかし」の二種類の髪形を用意しております。「古典さげ髪」は「割り毛」とも呼ばれる、平安時代に誕生し、江戸時代、明治時代のひな人形にも、もちいられた優雅で気品のある髪形です。一方、「おすべらかし」は江戸時代後期に完成し、現代では皇室行事にも用いられています。 「古典さげ髪」は非常に高度な技術が必要なため、一般には「おすべらかし」がほとんどのひな人形に使われています。
ひな人形の顔は、内部は石膏が主成分の新素材を使用し、その上に粘度のある胡粉を塗って作られます。目・鼻・口などを職人さんが彫刻刀で、丁寧に切り出し、豊かな表情に仕上げます。口の中は舌まで細工します。次に、きめ細かい上質な胡粉をハケで何回も手塗りします。わざわざハケで塗るのは、胡粉の「溜まり」を防ぎ、表情に大切なシャープな線を残すためです。最後に、仕上がったお顔に眉や紅などの化粧をし、次の結髪に進みます。
人形の髪は、「スガ」と呼ばれる正絹糸です。顔の周囲に「毛彫り」という溝を彫り、スガを植え込む「正絹植え込み結髪」という伝統技法で作られています。 一般には、別に用意した人絹の髪パーツを顔に組み合わせる製法が多く採用されています。人絹は安価ですが、光の反射が強すぎます。正絹糸を使う理由は、しっとりとした自然な風合いが髪に出るからです。それによって、人形の表情も全体のたたずまいもごく自然で、落ち着いたものになります。一般的な人絹で作る結髪の何倍も時間と手間がかかります。
デッサンで確認した全体のバランスを基にした、お顔に対して手の大きさ、男性の力強い手と女性のしなやかな手ふっくらした指先の形や爪の形・色や握ったときのしわも、かぎりなく自然な人の手に近く表現されています。 一般的なお雛様の男雛の左手は、女雛の左手と共通部品を使用します。そのため不自然に開いたままです。しかし、高貴な人は肌を見せないのがマナーでしたので、男雛の左手はそでを握るようなしぐさが自然です。ここにもデッサンに基づいて全体のバランスを顧慮した造形力をみることができます。
平安時代以降の日本人の冠の正式な着け方です。 冠の中の「マゲ」に串をさして固定するので、余分な取り付けヒモがありません。ヒモが無いため、お顔が前後で分断されず、スッキリ見えます。 また、一番の見せ場の胸元に、大きな結び房が下がらず、衣裳がよりいっそう美しく表現されています。 頭師、結髪師、道具師が三位一体で仕上げます。 ここでもデッサンを基にお顔の大きさに合わせて一つずつ作ります。 磊楽人形工房のオリジナルです。
ひな人形は大きく分けると「木目込みひな人形」と「衣装着ひな人形」があります。 当店では、こだわり抜いた逸品を取りそろえました。 じっくりと心ゆくまで、納得のひな人形をお選びください。
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木目込み人形の『石川 潤平工房』や創作衣装着の『鶴屋 半兵衛』、甲冑師の『力石 甲人』など、『人形のたいら』が扱っている作家をご紹介いたします。
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